AGA

AGAについて

 成人男性によくみられる、髪が薄くなっていく状態を「男性型脱毛症」といいます。最近では英語の略語でAndrogenetic Alopeciaの略でAGA(エージーエー)ともいわれます。

髪の毛のしくみと、うす毛の理由

 髪の毛は「伸びては抜け、抜けてはまた新しく生える」ことをくりかえしています。これをヘアサイクルと呼んでいます。ヘアサイクルには成長期、退行期、休止期とよばれる時期があり、髪の毛はいずれかの状態にあります。このうち成長期が一番長く通常では2~6年間、退行期は2週間、休止期は3.4カ月間といわれています。 
 毛は成長期の数年間で太く硬い毛に育ちます。しかしながらAGAの場合は成長期が数カ月から1年と短くなります。そのため毛は太く硬くなるまで成長できません。また、せっかく生えても数カ月から1年ほどで抜け落ちてしまいます。このため正常では成長期の髪の毛が全体の85から90%を占めるのですが、AGAでは成長期にある毛の割合が減ってしまい腰のない柔らかい毛ばかりになっていきます。同時に休止期の割合がふえ毛の密度も減るため、全体にうす毛になってしまいます。


(GSK社ホームページより転載)

AGAのタイプ

 部位により、頭頂部、額の生え際、前頭部とタイプが分けられています。


(MSD社 AGAnewsホームページより転載)

AGAの原因

 一般的に遺伝や男性ホルモン、ストレスや生活習慣の影響などが主な原因と考えられております。

  • 遺伝・・・持って生まれたものであり、残念ながら変えようがありません。
  • ストレス・・・誰もがなくしたいのですが、現代社会ではストレスなく生きることは困難です。
  • 生活習慣・・・良い睡眠とバランスのとれた食事が基本となります。気を付けましょう。
  • 男性ホルモン・・・AGAの最も大きな原因ですが、これに対しては何とかする術(すべ)があります。

男性ホルモンについて

 男性ホルモンはテストステロンといい、多くは精巣(キ○タマ)で作られます。そのほか一部は副腎で作られ、女性では卵巣でも作られます。そしてこのホルモンは血液の流れにのって全身へとまわります。髪の毛では根っこの部分から毛の細胞内へと侵入します。そこで「5アルファ還元酵素(5αリダクターゼ)」という酵素によって、より強力な男性ホルモン(DHT)に転換されます。DHTはテストステロンの5倍以上の作用を有しています。酵素パワーが5倍の戦闘力をもつターミネーターを生み出すのです。

男性ホルモンとAGAの関係

 DHTは毛の細胞の中でブドウ糖代謝に影響を及ぼしてATPの生産を阻害します。ATPとは生体エネルギ―のことです。もともとタンパク質が変化して毛になるのですが、ATPが減少すると、毛の生産工場をまわす電力(エネルギー)が足りなくなってしまい、たんぱく質の合成ができなくってしまいます。毛のもとになる細胞は活力を失い、早々に休止期毛となり、やがて毛は抜け落ちます。そしてAGAになってしまうのです。
 上記のように頭髪に対しては強く作用し脱毛させる厄介者のDHTですが、ヒゲや胸毛などの体毛に対しては程よい作用で硬毛化させます。ヒトも大昔ほかの動物と同様に、メスを獲得するために体毛や胸毛が濃く強いほうがオス感をアピールできて好都合だったことでしょう。そのために備わったホルモンの効果で、当時のオスには大変ありがたいものだったと思います。ただ残念なことに、現代ニッポンの女子は「あたま薄毛+体毛ボウボウ」なメンズのことを第一印象で「イケてる!」と思うことがどうも少ないようです。以前テレビ番組で、欧米ではハゲはマイナスポイントにならないと言っていましたが、日本ではヘアハラスメントが跋扈(ばっこ)しています。うす毛が原因で自信をなくしてしまい、その結果パワーや活力のみなぎりがさらに弱くなって枯れてしまっては、いけません。

AGAの治療薬

 テストステロンから5倍の戦闘力のあるDHTへ変わってしまうのを阻止すれば、ATP(工場の電力)は保たれます。ならば「テストステロン→DHT」への変換を邪魔してやりましょう。つまり酵素パワー「5α還元酵素」が働かなくすればよいのです。
 「5α還元酵素」には1型と2型があります。1型は皮脂腺に多く存在して、ニキビの出来易い脂っぽい人に多い傾向がありますが、毛乳頭にも存在しています。一方2型は、毛乳頭に多く存在し、体毛や髭が濃い人が多いです。
 現在「5α還元酵素」の働きをブロックする国内正規の「5α還元酵素阻害剤」には、フィナステリド、とデュタステリドの2つの薬剤があります。 
 フィナステリドは「5α還元酵素」の2型のみをブロックします。フィナステリドはMSD社から「プロペシア」として販売されています。効能効果として「男性における男性型脱毛症の進行遅延」となっています。 ちょっと待ってください。頭髪に悩む方であれば、毛乳頭に多い2型をブロックしたいのはもちろんですが、割合が少なくても1型のほうも同時にブロックしておきたいですよね。その点、もう一方のデュタステリドは「5α還元酵素」の1型と2型の両方をブロックしてくれます。ナイス、ダブルブロック!
 当院ではデュタステリドを用いてのAGA治療を行っております。デュタステリドはGSK社から「ザガーロ」および「アボルブ」として販売されています。「ザガーロ」と「アボルブ」は全く同じ成分ですが、「ザガーロ」の効能効果は「男性における男性型脱毛症」であり、「アボルブ」は「前立腺肥大症」となっています。全く同じものが、パッケージをかえ、別のものとして販売されています。

治療薬の効果 ザガーロの場合


 このグラフはデュタステリドの製造販売元であるGSK社の調査結果です。製造メーカーの調査ですので、100%鵜呑みでいいかという意見もあるでしょうから、あくまでも参考としてお読みください。
 この調査では薄毛男性を、ザガーロ0.5mgを内服するひと、ザガーロ0.1mgを内服するひと、フィナステリド(日本のプロペシア)1mgを内服するひと、およびプラセボ(見た目はクスリで実は効果なし 偽薬)を内服するひと、の4グループに分けます。そして長期間にわたりそれぞれを内服してもらって毛の増え方を比較しました。各グループは150人前後ですね。テレビ番組のように各グループ3人とか4人のレベルではないので、統計学的には信用に足ります。結果は、「ザガーロ0.5mg」グループは、12週間内服で他のグループを圧倒的に引き離して増毛効果を認めています。さらに24週時点までその効果は持続あるいは増強しています。この調査から、ザガーロ0.5mg内服により増毛が期待できることが示唆されます。
 なお、このグラフで院長が注目したもう一つが、グレーの線で、4つ群の中で一番低いグループです。これは、プラセボ(見た目はクスリで実は効果なし 偽薬)に割り当てられた方の結果です。12週、24週とどんどんマイナスになっています。割り当てられた方がたはお気の毒です。通常、このような薬の効果の調査では、たとえ効果がない偽薬に割り当てられたとしても、「プラセボ効果」により多少は改善するものです。「プラセボ効果」とは、患者さんの暗示や治したい気持ち(信じるものは救われる、イワシの頭も信心から)が病状改善につながるといわれているものですが、残念ながら今回の調査では、プラセボ効果は全くなかったのです。あくまでもこの調査からいえることというシバリがありますが、効果のない治療薬は、長期に続けてもやはりだめなのを示唆しています。
 気になる副作用の結果も公表されております。
 副作用の発現率は、ザガーロ0.5mg群16%(30/184例)、0.1mg群21%(39/188例)、フィナステリド1mg群20%(35/179例)、プラセボ群15%(27/181例)であった。主な副作用(いずれかの群で発現率5%以上)は、勃起不全(ザガーロ0.5mg群5%、0.1mg群3%、フィナステリド1mg群6%、プラセボ群3%)とリビドー減退(各々2%、5%、4%、1%)、とのことです。
もっと副作用や注意事項について知りたい方はこちらへ
https://jp.gsk.com/media/936525/zagallo-guide_201712.pdf

ひとこと

 泌尿器科の「泌」はホルモンという意味があります。泌尿器科医はホルモンと尿の科なのです。ホルモンのうちでも、特に男性ホルモンを治療でもちいています。ザガーロと全く同じ成分であるデュタステリド(販売名 アボルブ)は、前立腺肥大というおしっこの出が悪くなる病気の治療でよく使用されております。
 AGA治療について、ご相談のかたは通常の外来を受診してくださいAGAだから受診がはずかしい、などとおもわれずお気軽に受診してください。

【重要】ザガーロの服用に関する注意点 ※必読

必ずお読みください。

  1. 1日1回1カプセル、服薬タイミングを決めて内服して下さい。
  2. 円形脱毛症や抗がん剤等による薬物が原因での脱毛症には適用がありません。
  3. 肝臓機能が悪い方には処方できません。
  4. 副作用として勃起不全・性欲減退・精液減少・射精障害・肝機能異常があります。
  5. カプセルをかむことや中身を開けることは、絶対にしないでください。健康被害につながります。
  6. 妊婦、産婦、授乳婦、小児が服用および接触しないように注意して下さい。妊娠中の女性がデュタステリドを体内に取り込むと胎児の奇形の発生率が高くなるとされています。漏れた薬剤に触れた場合には、直ちに石鹸と水で洗ってください。
  7. 効果があるかどうかの判断は、6ヶ月間の服用が必要です。6ヶ月服用しても効果が見られない場合は服用を中止してください。
  8. 併用注意薬があります。 ※CYP3A4 阻害作用のある薬剤と併用することで血中濃度が上昇します。下記リンクを参照のうえ、ご自身のお薬をお確かめください。
    https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=DG01522
  9. ザガーロを服用中に前立腺がんの検査で指標となるPSA(前立腺特異抗原)値を測定する時は担当医にお伝え下さい。6ヶ月以上の服用で測定したPSA値を見た目上、半分まで下げてしまうためです。服用を中止して半年以上経過していれば報告はしなくても問題ありません。
  10. 献血の可否については、日本赤十字社に直接お問い合わせください。

AGA診療料金

初診料;3,000円
再診料;1,200円 ただし、お薬処方のあるかたは無料
薬剤費;別途 ※お薬代は仕入れの都合等で適宜改定します。
ザガーロ0.5mgカプセル 30カプセル;9,400円(税、処方料込み)

 当院ではアボルブの処方をおこなっております。
アボルブはザガーロと同じデュタステリドで、ザガーロと全く同じ成分内容・おなじ成分量の薬剤です。ザガーロとおなじGSK社が製造販売しており、剤形も同じカプセルです。保険診療における適応疾患は前立腺肥大症です。 肥大した前立腺の退縮効果があります。前立腺の腫瘍マーカーPSAがおよそ半分になります。
アボルブ0.5mgカプセル 30カプセル;8,880円(税、処方料込み)

処方をご希望の方は院長にお伝えください。